たしかに人間は弱いもので、自分を知るということはそう簡単なことではない。そこで同じ志を持つ道友に巡り合うということが大変重要になってくる。何時も間違いなく北と南を指し示す羅針盤が要る。暗中模索の日々で救いはこれだ。私のような頼りない者が何とかこの道で生きてこれたのは大きな壁に打ち当たったとき、良き先輩の適切なアドバイスがあったお陰である。しかし人生に於いてそういう良き縁に巡り合うことは難しい。 もしあの時本当に親身になって忠告してくれる友人がいたら、罪を犯さず今頃刑務所暮らしをしなくとも済んだに違いない。自分の弱さ未熟さを知って、自分一人の力では何一つ出来ないのだと悟り、謙虚に人の声に耳を傾けることが、結局自らを救って行く唯一の道だと知ること、これが人生を誤らずに生きるということに繋がるのである。 |