私は何時も近くの神社まで散歩に出掛ける。長い参道を上り詰め本殿にいたると、次々に老若男女が訪れお詣りをしている。神殿に詣でるというのは結局天地自然に手を合わせるということである。日本人は万物を神と崇め神と敬い、天地自然からあるべき道を学び身を律していった。戦後核家族化が進み、同時に父親の権威も失われ、日本固有の伝統的な深い情緒が失われつつあることを危倶する。日本精神の底に流れている武士道こそ、行き詰まった現代文明に大きな活力を与えるのではないかと思うのである。
参考資料 藤原正彦著 「父の威厳数学者の意地」
(新潮文庫) |