そう言う悪夢の繰り返しが続く中、今年に入ってどういう訳か体重が増え始め、止まらなくなった。私の日課は起床から睡眠まで殆ど同じ事の繰り返しで、運動量も食事もほぼ同じなのにこの結果は、ほとほと困り果てた。原因の一つとして考えられることは、老化によって一日のエネルギー消費量が減少し、余剰分が体重増加の方に回っているのではないかということである。そんな折り、NHKの「ためしてガッテン」で、計るだけダイエットという方法があると知った。これは朝晩一定時間に体重計の上に乗り、折れ線グラフに記入して行くだけで、ジリッジリッと確実に体重が減ってゆくというのだ。この方法の良いところは、別に食事制限をするわけではないので、無理をしていないから、全く苦痛がないこと。また費用ゼロだから、懐が痛まないことである。ともかく騙されたと思ってやってみることにした。
始めて約一ケ月で二キロ減量できた。この間食事も運動も従来と全く変わらずである。何とも不思議なことだが事実そうなのである。まっ、厳密に言うと一ケ月半経過した現在の状況は、減量がぴたっと止まってしまい、一進一退を繰り返している。この先どう成るのか少し心配になってきたが、どうせ何も減量のために努力しているわけでもなく、只なのだから、駄目元と思って気楽に考えて続けている。
聞くところに依ると、この計るだけダイエットは、比較的男性は成功率が高く、それに比べて女性の場合は失敗する例が多いそうだ。原因は何かであるが、男性は折れ線グラフを眺めながら分析して行くのだそうだ。これが脳に何らかの影響を及ぼし、無意識のうちに無用な食欲をコントロールしているのではないか。これに対して女性は余りそう言う見方をしないらしい。「別腹」などと言っては満腹の上にさらにケーキなどをぱくぱくやる。これでは減量できるはずはない。「犬は胃袋で食い人間は脳で食う」と言う。腹が減ったから何か食べたいと思うのも全て指令は脳がしているので、本当に胃袋が空になっているのかどうかは別の問題だと言うことである。それが証拠には、同じ食事をしても、楽しい仲間と談笑しながらだったら二倍にも三倍にも美味しくなり、酒量も一段と増す。しかし嫌な上司と肩苦しい雰囲気での会食だったら、食も進まず、飲む酒も旨くはない。これなどを見ても明らかなように、人間は常に心で飲んだり食べている。こう考えてくると、先程私は何もしていないと言ったが、それは自覚的に何もしていないと言うことで、本当は知らぬ間に何事かしているのではないかと言うことである。唯それが無理なく自然で、減量などしているとまったく感じないから、結果何も努力せず知らぬ間に減量できると言うことになるのではないだろうか。
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