毎月一日と十五日は祝聖(しゅくしん)である。この日は何時もより三十分早く起床して朝課行事の前に天皇陛下の聖寿を祝祷し、併せて国家の安寧と人々の幸せを祈願する。
まず例によって大鐘が鳴ると手早く東司や洗面を済ませ、この日だけは特別に白衣に白足袋、袈裟を着け法衣も真威儀で、雲水最高の正装となる。堂内の支度が整うと侍者さんが前門の戸を二回叩き、大鐘を撞いている者に報せる。やがて鐘が打ち上げられると本堂の角にある法鼓(大きな太鼓)が独特なリズムで拍子を取りはじめる。静まり返った境内に響き渡る法鼓の音はいつ聞いても良いもので、普段とは違う祝
聖の荘厳な行事を予感させる。
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