直日の巡警が終わり警策を聖僧前にカチン!と置くと同時に灯りが消され、暗闇の中、直日は残香の一?を坐り、十分ほどして静かに退堂する。それから全員静かに起きあがると座布団を抱え外に出て、今度は夜坐となる。本堂の濡れ縁に横に一列になって再び坐禅が始まる。解定は一端寝る格好をするだけで本当の就寝ではないわけである。真冬厳寒の時期には夜坐から帰って布団に潜り込んでも、冷たい体が暖まら ないうちに朝の起床を告げる大鐘の音を聞くことも度々であった。
また大接心摂了の解走諷経は独特である。大悲愁・消災呪をできるだけゆっくり誦む。これは少しでも解定を遅らせ、ぎりぎりまで?提工夫し、何とか新たな活路を得たいという修行者としての切なる願いが込められたものである。
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