また少菜(おかずのこと)を仕度するのも副随の役目である。これも僧堂の人数が多ければその分量たるや並みではない。こんな時下手にケチれば堂内から何を言われるか分かったものではない。しかも使う野菜類は泥だらけのものばかりだから、調理するまでの段取りも容易ではない。寒い冬の季節ともなれば凍り付くような水に手を真っ赤にしながらの作業となる。私は台所仕事は不得手の上、要領が悪いときてい
たから、これまた戦場の様相を呈することになった。
また粗末なわら半紙を丁寧に綴じて作られた日単(にったん・記録簿)に毛筆で、少菜の調理法などを詳細な図入りで残した先輩も居られた。後の者が困らないようにと言う配慮である。この忙しい中良くもこんなに丁寧な記録を残すものだと頭が下がる思いだった。いろいろなことは在ったが、良し悪しは別にして、お互い青春の滾るような思いを、こんな形で表現していたのである。
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