警策の材質も夏期と冬期とでは違っている。夏は薄着をするから檜であり、冬は厚着をするから橿である。また打つ回数も夏は両肩二発づつで、冬は四発づつとなる。この時、意外と大きな音がするので初めての方はビックリされるが、音から思う程痛くない。警策を当てる部分は平べったくなっており、背中の骨を避け、上手に筋肉の部分を狙い定め打つので、よどんでいた血もほど良く巡り、むしろ後は清々しい気 持ちになる。
ところが、これは一般の方々を対象にした場合の話しで、専門道場で雲水が大接心中に打たれる警策はこんな生易しいものではない。長時間に亘る坐禅に加え、参禅ではぎゅうぎゅうの目にあい、七転八倒の苦しみの真っ只中だから、知らず知らずのうちに力が入って、警策が何本も折れる。しかし、これで怪我をしたとか、後遺症が残ったなどというのは聞いたことがない。 余念を交えず、修行一途なのが何より肝心なのである。
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