禅堂では諸出頭はすべて鳴らしもので知らされる。雲板が鳴れば朝食・昼食であり、柝が鳴れば夕食・作務等である。本堂出頭は行事の種類によって鳴らしものが変わり、その中でも重要な儀式には必ずこの法鼓が打たれる。毎月一日と十五日の祝聖、講座、開山忌、特別な法要などである。大抵は本堂南側隅の頑丈な台の上に置かれ、大きな寺になればなるほど太鼓も大きくなる。従って打つ者は専用の踏み台に乗り、玉襷を取って打つ。 この役は殿司でも下役の係だから、あらかじめ打ち方を稽古して置かなければならない。これが相当難しく、ちょっとやれば直ぐ出来るというしろものではない。そこで暇を見つけては少しづつ稽古をしておくわけだが、何せ大太鼓で寺中に響き渡るものだから、勝手に打つことが出来ない。だから老師不在の時や全員山作務で境内には誰も居ないようなときに、許可を貰って稽古するのである。この点が回向の練習などと違うところで、稽古時間が限定される上、一番難しいのだから皆苦労する。
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