禅堂での坐禅は厳密に坐る時間が決められていて、季節によって多少異なるが、日中の行事や作務が終わり薬石を済ませ、その後晩開板(この時間も僧堂によっていろいろだが、うちの場合は夏制半年間は午後六時半・冬制半年間は午後六時)となり一斉に禅堂で坐る。午後九時、解定諷経があって、カシワ蒲団を延べ寝る格好をする。直日がぐるりと検単してから警策をカチン!と音を立てて置くと同時に禅堂内の灯りが消される。直日は残香の一坐ってから、静かに聖侍寮内の直日部屋に下がる。この時後門の閉まる音を聞いたら一斉に起きあがる。未経験の者は一端寝てから、今度は暗闇の中起きあがるので、何事が始まるのか不思議に感ずる。一端脱いだ法衣を再び着け、単布団の上に載せてある座布団を小脇に抱えて夜坐に出る。つまり夜坐とは、禅堂内での規矩坐が解定で終わり、その後禅堂から出て、今度は本堂の濡れ縁で坐禅を組むことである。
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