延寿堂とは修行中体を壊したものを休ませ、回復したらまた現場復帰させる一時避難所のようなもので、病僧寮とも言う。大抵禅堂に隣接して建てられている聖侍寮の中の一室があてがわれる。風邪を引いたりお腹を壊したりと、修行者も人間だから病気になるときがある。もうどうしても皆について行けないほど弱ったときに、侍者さんに申し出、許可されれば即刻病僧寮に入り、布団を敷いて終日休み英気を養うのである。特に胃腸を壊した場合などは、侍者さんが特別にお粥を炊いて部屋で食べさせてくれる。こういう話を聞くと、中には悪用して、たいした病気でなくとも、申し出る者があるように思うかも知れないが、全くそう言うことはない。むしろ反対で、明らかに弱っているので、周りの者が病僧寮で休むようにいくら勧めても、大抵は、「大丈夫です!」と言って頑張る。何故なら、修行は皆ギリギリのところでやっているから、一端病憎になって気持ちが萎えると、もう一度立ち上がるのに、相当苦しい思いをしなければならないからである。
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