俗に言う衣替えは、六月になると高校生の通学服が一斉に夏服に変わり、黒っぽかった重たい服から、特に女学生の白い上着が目に飛び込んではっとさせられ、いよいよ夏到来だな〜と思う。僧堂でも六月になると藍染の木綿の冬衣から軽い麻衣に更衣する。五月中頃には特に日中相当暑い日もあるので、更衣が待ち遠しい。ずっしりと重かった冬衣から麻への変化は爽やかで嬉しいもので、気持ちまですっきりする。それは良いのだが、麻衣は坐禅を組むとき、組んだ足が外から見えないように、内側の着物でしっかり覆って見苦しくないようにしなければならない。その点冬衣の場合は良い。足を組んで衣の内側はぐちゃぐちゃでも、木綿衣ですっかり隠れてしまうので外からは窺うことは出来ない。涼しくて有り難い夏衣だがこういう欠点もあるので注意が必要である。ベテランの雲水になればそこは慣れたもので、あっという間に綺麗に整えられるが、未熟者はもたもたするばかりで、手間暇かけても、組んだ足が見えたり、果ては褌まで見えてしまったりと、はなはだ見苦しい仕儀となる。 |
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