十二月一日からの冬至大接心が終わると、直ぐに正月の諸支度にかかる。考えただけでもゾッとするほどやらなければならないことがある。まずは年末大掃除、山へ出掛けて竹を切り、すす払い用の長い竿を作り、天井を始め埃の溜まっていそうなところ、特に軒下などは必ず蜘蛛の巣が張っているので綺麗に取り除かなければならない。また典座は竈で薪を焚くからその度に灰が舞い上がり、太い小屋組の上は、下から見上げても真っ白に汚れている。そこまで上がって行くのも容易なことではないが、一人が太い柱にしがみつくと、下から雑巾を勢良いよく放り上げる。片手は柱にしがみつき片手でキャッチ。旨く命中すれば良いがこれがなかなか簡単ではない。雑巾を掴み取る方にばかり気がいって、しがみついてる手をちょっとでも緩めようなら、真っ逆さまに墜落という憂き目に遭う。小屋組全てを綺麗に拭き上げるまでには、上の者は黒ん坊の様に成る。年末酷寒の時期殆ど裸でこれをやるのだから、冬期の典座役はご苦労なことである。 |
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