僧堂は一年を、夏期と冬期に分けて居る。夏期(五月一日〜七月三十一日)を雨安居と言い、冬期(八月一日〜一月三十一日)を雪安居と言う。僧堂は中心となって取り仕切っている老師をトップに、修行中の雲水で成り立っている。
雲水は大きく常住と堂内に別れる。常住員は知客(しか)兼副司(ふうす)・典座(てんぞ)・殿司(でんす)三應などの役目が与えられ、一方堂内は、直日(じきじつ)と聖侍(しょうじ)役が他の堂内員の指導教育を行っていく。特に役目を与えられた者は、自分自身の修行と同時に、全体の修行のために切磋琢磨していくのである。
半年ごとに、雨安居と雪安居の切り替え時に、役目の交代が行われる。役寮に入って、僧侶としての基礎的訓練をしながら、日常生活に必要なあらゆる仕事を分担し、様々な事柄を経験し学んでいく。例えば典座役になれば、飯の炊き方から味噌汁の作り方、洗い場での手際など、また殿司寮に入れば、お経や回向(えこう)などの唱え方を実地に学ぶ。三應寮では、老師の身の回りのお世話から、洗濯掃除食事の支度にいたるまで、師匠に仕えることを学ぶ。このように、雲水修行は単に坐禅だけを組んでいるのではなく、僧侶に必要な事柄全てを経験し学んでいくのである。おもに常住役は比較的修行年限を積んだ者に割り当てられ、未熟なうちは専ら堂内員となって、ひたすら坐禅・托鉢・作務に明け暮れるのである。何と言っても修行で一番大切なのは、まずは徹底的にどん坐ることで、この基礎が出来て後、初めて役を与えられ、実務的なことも覚えていくのである。 |
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