僧堂の食事は三食全て献立が決まっている。
朝食は必ず麦粥(但し一日と十五日は祝聖行事があり白粥)である。だから朝食を粥座という。
早朝より本堂での勤行があり、一端禅堂に戻って読経後、直ぐに雲版が打ち鳴らされ、食堂で粥座となる。全員着座するとお経が始まり、経中に飯台看が上座より順次孟鉢に粥を注いで行く。一杯目はそこそこ米粒が入っているが、二杯目になると、減った分だけ飯器に熱湯を注ぎ分量を水増しするから、米粒は数えるほどで、箸も使わず口へ流し込む。これを天井粥と言う。余りの薄さに天井が写るところからこのように言われる。質素この上ないものだが、真冬酷寒の季節は、冷えた体に熱い粥が胃袋に入り、五臓六腑に染み渡る。全部の血管が火照り体中が熱くなる。火を噴くほど熱い粥を音を立てずに口に流し込むわけで、これには些か技術が要る。いきなり口に流し込もうものなら火傷をする。さりとてふ〜ふ〜吹いて食べることなど絶対禁物である。 |
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